第77回卒業証書授与式

式辞

 最後の授業が始まりました。

本日は、中学校での最後の授業、義務教育最後の授業です。

その最後の授業の日は雨となりました。これまでのほとんどの行事が晴れだった中、まるで天も含めてすべての人やものが君たちの卒業を悲しんでいるようです。

しかし、言います。

卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。本当によく頑張った3年間でした。

保護者の皆さま、お子さんのご卒業おめでとうございます。また、3年間本校の教育活動に多大なるご理解とご支援を賜りましたことに対して、高段からではありますが、厚くお礼申し上げます。

 

更には、ご来賓の皆さまにおかれましては、お忙しい中、大東中学校卒業証書授与式にご列席を賜り、誠にありがとうございます。地域に開かれた学校、地域に根ざした学校経営のために、ご支援賜っていることに対して、深く感謝申し上げます。

 

さて、卒業生の皆さん。

君たちの学年は、勉強にスポーツに、生徒会活動に、本当によく頑張った学年でした。様々な場面を思い起こすと、そこには、圧倒的存在感がありました。圧倒的な存在感です。

また、私は君たちが活動する様々な場面をみて、「感謝力の高い学年」、「メリハリの効いた学年」と評しました。歌も元気に歌え、上手な学年でした。

在校生の1、2年生はこれから、君たちが築いた素晴らしい校風、エネルギッシュな生徒会活動等を手本にし、目標とし、乗り越えていく努力をしてくれることでしょう。

 先日、最後の道徳にお邪魔して、私は君たちと人生について、生きることについて考えました。多くの人が、人生では挑戦が大切だと綴ってくれました。また、うまくいくこともいかないことも含め、その挑戦を一つの経験として、自分の新たな力にしていくことが大事だと考えてくれました。

授業後の感想では、

「自分が興味をもったことは放っておかずに大切にしていきたい」

「挑戦することでそれがやりことになり、好きなことになる」

「一つのことを続けることも大事」

「人との出会いを大切にし、人との輪を大切にしたい」

「人生の満足度は人によって違う。だから自分らしさを大切にしたい」

と、君たちの意見に耳を傾けると、大東中学校で本当に多くのことを学び、経験し、たくましくなってくれたと、うれしく感じました。私は、自信をもって今日君たちを送り出すことができます。

 

教えることは少なくなりましたが、最後に二つお願いをしたいと思います。

一つ目です。

4月からは、自分が決めた進路で羽ばたくときです。これからの新しい生活で楽しいこともあれば苦しいこともあると思います。時には、自分が選択した進路が間違えではなかったとかと思うことがあるかもしれません。

しかしながら、その進路が正しいかどうかを考えるのではなく、自分の決断・選択を正解にする努力をしてください。人生において、決断した時点で正しい選択はありません。大事なことは決断したことを正解にするために何をするか、どうがんばるか、そのことが重要であり、その努力ができるかどうか鍵です。

二つ目です。

君たちの生きる未来は、多様性や国際化が益々進むはずです。言語や考え方が違う人と、ともに生きていくためには、英語力以上に必要なものがあります。それは、自分自身のことを自分の言葉で語れる力です。そして、自分が生まれたところ、例えば米原市、滋賀県、日本という自分自身が立っているところの歴史や文化、あるいは魅力や課題について、自分の言葉で語れる人になるということです。

「自分のことば」をもってください。親に言葉をかりるのではありません。SNSに書いてあることをうのみにし、マネをするのではなく、自分の頭で考えた自分の言葉で、言語や考え方の違う多くの人と、しっかりコミュニケーションを取っていってください。そのための学びやスキルは、これからも地道に時間をかけてしてください。

 

「人は人の中で育つ」。また、「人生は人との出会いで決まる」と言っても過言ではありません。「意味のない出会いはない」という人もいます。「人は出会うべき時に出会うべき人に出会う」と思えます。そのよい縁がさらによい縁に発展していき、良い結果に恵まれることも人生の不思議さであり、人生の妙です。私は君たちと出会えたことに感謝します。ありがとう。

 

君たちが、これから活躍するステージは無限に広がります。そのステージが広がれば広がるほど、自分の立っている場所と自分自身が大事になってきます。そのためにも、この雨があがったあとの晴れ上がった空のように高々とした心を持ち続けてください。人生はたった一度の片道切符の旅です。これから始まる自立に向けた旅で、自分自身を精一杯輝かせてくれることを、また、新しい舞台で大東中学校での学びを土台に更に成長してくれることを、そして人生という旅の途中で幸多からんことを祈念し、式辞とします。

令和6年3月12日

米原市立大東中学校 校長 河地 誠